ごあいさつ
はじめまして、当教室代表の星子寿三郎です。私は宮崎県初の奨励会員となりプロ棋士を目指していました。その後帰郷し子どもたちに教えはじめて現在に至っています。私自身帰郷翌年、地元紙主催の宮日王位戦に初参加で初タイトル獲得し、教え子も2,3年ほどで宮崎県史上初の小学生日本一も出しました。宮崎県の将棋界は激変していきます。いまほどインターネット環境も普及もしていないころに、奨励会仕込みの定跡研究やその感性を持ち帰った影響は大きく、教え子たちも次々と県代表になり、全国大会においても優勝や3位入賞できるようになりました。
このように、こどもたちの能力は計り知れないものがあり私自身も日々驚かされています。「将棋」を通して頭を使うこと考えることが好きになってくれたらいろいろな分野においても生かせると信じています。
①将棋を通して楽しみながら子供たちの成長のお手伝い(忍耐を覚え、考えることが好きになる)
さて、初めて「将棋」に触れてこれから親しんでいただくためには厳格なところは置いといて、まずは「将棋」とは何? どのように考えたらいいの? 勝ち負けの決着は? などなどこれから皆さんの知らない面白いところをどんどん見せます。そして知らないうちに考えることが好きになり、勝っても威張らず、負けてもくよくよせず、すぐに反省して次につなげる心の切り替えができるようになるはずです。そんな手助けをしたいと思っております。そして上達すればするほど負けの辛さ、勝負の厳しさを理解し、強くなるために自主的に努力することができるようになることを目指します。
②そのすがすがしい勝敗決着の態度と所作を伝えたい(礼儀・作法)
プロ棋士を目指す修行場、奨励会。そこには将棋に向き合う真摯な態度、盤や駒に対して神聖な気持ちを持って取り扱います。対局にいたるまでの手順や所作にも昔からの伝統あるしきたりがあります。そこは厳格でありながら、とても潔い、気持ちのいいものです。
③将来プロになりたい子がいればそのサポートをしてあげたい
奨励会の習慣や考え方はプロなのですから他とは一線を画すのは当然であり、プロ棋士や先輩たちとの会話を通して身についていきます。奨励会員には記録係という間近にプロ棋士の対局を見られる特権ともいえる仕事があります。順位戦だと12時間以上もプロ棋士とその局面を考え感想戦を直に聞ける、まさにプロの感性に触れて指し手の疑問を解決してくれる最高の勉強の場です。私も修行時代200局近い記録係をした経験が子供たちへ自然とフィードバックされているのでしょう、本筋の将棋を指せる子供たちが増え実績を上げているのだと思います。プロを目指すことも視野に入るほどの高段者になって全国大会実績によって有名大学に推薦入学できたり、なかにはプロ棋士になっている者もいます。
将棋をもっともっと好きになって社会に生かせるようになればと願っております。 こぼれ話
髙﨑七段と
星子壽三郎
故花村元司門下で奨励会入り。兄弟弟子に森下九段、深浦九段、窪田七段がいます。彼らにいつもいつもお世話になっています。関東・関西両方に所属したため両方に知人がいるのが強み。 現在アマ六段
宮日王位戦3期獲得2期挑戦
アマ名人戦宮崎県代表3回、アマ竜王戦宮崎県代表3回
赤旗名人戦宮崎県代表4回(最高ベスト16位)、久留米王位戦宮崎県代表4回(最高3位)
指導方針
「子供らしく棋士らしく」
はじめのうちは勝て喜び、負けて悔しがる感情が素直にでてもかまわないですよ。笑って泣いて、どんどん強くなっていきましょう!子供らしくていいじゃないですか。
そして真に強くなると、勝ったのは相手のミスや構想に助けられたのであって自分がすごいのではありません。だから相手の前で喜んだりガッツポーズをしたりしてはいけません。負けた相手をいたわり、さらに上達し、高レベルで戦えることを目指し、自分より強い人に向かっていく気持ちを持ってください。
特別講師 久保田貴洋 六段
奨励会経験者
2016年 第70回全日本アマチュア将棋名人戦準優勝
2017年 第46回支部将棋対抗戦(通称:支部名人戦)準優勝
プロ棋戦の竜王戦6組の参加資格を得て現在奮闘中!プロ棋士に2連勝して3回戦挑戦。
2018年7月 第72回全日本アマチュア将棋名人戦宮崎県代表
2019年4月 宮日王位奪取 5月アマチュア竜王戦県代表
6月 第73回全日本アマチュア将棋名人戦県代表 9月全国大会に出場日本一を目指す
2020年
2021年4月 第53期宮日王位戦防衛
2022年5月 第54期宮日王位戦防衛 3連覇!
5月 第45回西日本久留米王位戦 準優勝
こぼれ話
奨励会員から見ればごく当たり前にできることが、一般の方々から見るととてつもなくすごい!ことなんだそうです。それもそのはず24時間将棋のことを考え、プロ棋士になるために日々精進しているからでしょう。
①棋譜を読むだけで将棋の指し手が頭で描ける
メールで棋譜を送っていただきその対局のアドバイスをすることがあります。棋譜表記されたメールを見て 「4五歩と仕掛けたのが悪く、2四歩と突き捨てて以下同歩に4四歩、同銀、……」と将棋盤に並べることなく答えています。
奨励会時代の帰宅途中の電車の中、吊革につかまりながら、「あの将棋でさあ」と検討が再開します。
「○○角成とするところで一旦、○○飛と打っとけばこっちがいいんじゃない?」
となりにいた先輩が「それには○○桂の中合いでダメだね」
そうやって指し手がどんどん進んでいくのです。それが耳に入ってきた席に座っていたおじさんが、何の話をしているのだろうと怪訝な表情で見上げてきてよく視線が合っていました(笑)。
棋士を目指すなら(奨励会レベルとしても)このくらいは簡単にできないとね。
都成竜馬くんと目隠し将棋の棋譜が地元紙に掲載されたのもいい思い出です。私が目隠しで、当時の竜馬くんは盤に並べての対局でした。佐藤康光先生は、目隠しで3面指しされていましたね。取った駒、取られた駒まで記憶しなければ持ち駒を把握できません。それを3面。す、すごい!
➁100手以上の詰将棋をしている
奨励会入会当初、お世話になっていた先輩に、仕掛けたら詰みまで読み切れるくらいの能力がないとダメだと言われていました。さらに先輩たちの会話でも「あの35手詰め詰ました?」とか「ねぇ、この間のあれさぁ、73手じゃない?」など今まで聞いたことのない長手数がポンポン出てきていました。ここはとんでもない人たちが集まっている、このくらいできないようではダメだとはじめた将棋図巧。最初の1問目、1番・69手詰。
今考えるとたいした長さではないのですが、解けた時のうれしかったことを記憶しています。ここで修行する資格が私にはある、と自信をつけたものでした。もちろん盤に並べずに頭の中で詰ますんですよ。
ラーメン食べてるときに「あっ、詰んだ」という先輩がいたり、奨励会で旅行があったころ、寝ている者、夜遅くまであるいは徹夜で将棋を指している者、そんな中、寝ているはずの一人が「1五金までの27手詰め!」とガバッと起き上がってきてびっくりしました。それを聞いていた先輩が、「おーっ!それは将棋無双の46番だな。正解!」なんてこともありましたね。寝ていても詰将棋解いているんだと驚愕でしたが、わたしも寝言で「○○飛車成」とか言っていたそうです。ちょっと違うかな(笑)。
ここの教室に来て全国3位にもなった、転勤で他県から来たときに「これ解けます?」と詰将棋を出してきた。他の子と指導対局しながら解こうとしたがなかなか詰まない。教室のレベル確認のつもりか無礼な奴(笑)。あとから来た久保田講師が15分たらず、その後私も30分くらいかかって解いて見せた。「27手詰めだね」に、その子が「やっぱここすげえや」といっていたのを思い出す。元奨励会員をなめんなよ(笑)。
彼もまた、「宮崎に行ったら星子先生のところに行くように」といわれてきた一人です。日本一が3人、兄弟弟子、友人たちがトッププロになっていたのでちょっと有名になっていたようです。えっへん(^_-)-☆
ちなみに久保田講師は奨励会時代に「将棋図巧第百番(寿)」611手詰めを詰ませたツワモノです。すげー!
③多面指し(指導対局)が正確にできる
多面指しなら私もできるという方もいらっしゃるでしょうね。ただ対局するだけではだめですよ。
とあるカルチャーセンターで指導していた時の話。その時は5面指し(ひとりで5人を相手する)をしていました。「ここで角を打ちましたが、……。」とそれぞれに指し手の指導をしていきますが、当然ながら終局タイミングはそれぞれ違うもの。対局中のところもあれば終わって感想戦をするところもあるのが多面指しの対局風景です。終わった対局の問題点を指摘・解決しながらも、対局中の指し手も考え、記憶していかなければなりません。そして指導対局終了後、5人にそれぞれの対局棋譜を書いて渡すと、「全部記憶されてるんですか」と驚かれたものです。
奨励会時は最高15面対局までしましたが、30人くらいはできると思っていました。羽生善治先生は100面指しをされていましたね、やはり凄すぎです。
全国大会に行って予選2勝通過の2回戦で敗退、対局数は4局。スマホもアプリもまだまだのころ、将棋盤に並べずに棋譜用紙に書き込んでいたら「将棋盤に並べることなくできるんですね。すごいです。」といわれ、現役の時は平気で1年以上たっても覚えていたのに、今は衰えてきてるから、その日のうちに書いているわけで、そんなに凄いこととは思っていませんでした。私がいたころの奨励会員はみんな上記のことは当たり前にできたものだから、今でも特殊技能とは思っていなかったのです。
いかがですか。人間鍛えるとすごいことが平気でできるようになるものですね。自画自賛?(笑)
それはどの世界でも同じだと思います。人生の中で、もうこれ以上できないというほど集中して鍛錬してみてください。将棋だけではなくすべてのことで高レベルに達することでしょう。ただし、高いレベルの人がどのくらい周りにいるかがほんとうに重要になってきます。それはスポーツなどにも強化団体があることでもわかるでしょう。奨励会は周り全てが高レベルであり、その先にプロ棋士の先生方がさらに高レベルでお手本になっている凄い環境ですから、気づかないうちに、すごいことができるようになっているのだと思います。
元奨励会員だからこそ伝えられるもの
近年新制度によってアマチュアからプロ試験合格した人はみな元奨励会員だということからもわかるように奨励会での修業者は将棋の質が違います。奨励会を辞めたあと将棋から離れていく人も多いので、ますますそれを伝えられる希少な存在になっています。近くに元奨励会員がいたなら是非指導をしてもらうといいと思います。上記のような特技はなかなかできるようなものではないはずです。
最後に
奨励会を辞めても将棋を続け、各地で全国大会で入賞するほどの優秀な教え子を育ててその出身校やその地域を全国に知らしめ将棋のレベルを上げた実績は素直に称賛してあげましょう。私の場合は宮崎の将棋界のレベルを上げかつて目指したプロの道へと導いています。将棋においては他ではできないことをし、プロ棋士の友人も多いので嫉妬されているかもしれませんが、みんなで強くなるためには協力は惜しみません。